【day9】海老沢泰久『帰郷』を読んで

海老沢泰久『帰郷』を読みました

電車に乗っているときに何か小説を読もうと思いネットで調べていたら、
「直木賞受賞の短編。電車で読むのにちょうどよい」との記載を見つけ、
その場で電子書籍を購入し読みました。

F1のエンジンに夢中になり、その後日本に帰郷した男

主人公はF1のメカニックとして抜擢され1分1秒を争う世界で夢中で働きました。
その後F1の任を解かれ日本の平凡な仕事に戻りますが、
F1の晴れやかな世界を味わった感覚が抜けず周囲とのずれが生じてしまいます。

ITエンジニアでもありそう

『帰郷』の主人公はとにかくエンジンが好きで、
エンジンのことなら誰よりも精通していると言えるほどエンジンを研究していました。
ITエンジニアで言えば仕事で触っているフレームワークをただ使うだけでは飽き足らず、
フレームワーク全体のソースコードを解析して細かい動作まで把握してしまうような人でしょう。

このような人は純粋な知的探求心からエンジンやフレームワークを知ろうとするのですが、
そうではなく職業的な給料をもらうために業務へ携わっている人からすれば、この動機は理解しにくいものでしょう。
複雑なものを紐解き内部を明らかにして、使いこなすことがただただ楽しい。
そんな趣味が高じてITエンジニアになった人はそれなりの割合でいるのではないでしょうか。

ITエンジニアとして勉強をしスキルを得る目的には、良い待遇を得ていい暮らしをしたいという思いももちろんあります。
ですがそれよりも多くの割合を占めるのは、ITにまつわる複雑な仕組みを解き明しもっと技術を追求して楽しみたいという欲求です。

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