さて量子論とは仲の悪いイメージがあるアインシュタインですが、実はこの量子もつれを最初に指摘したのはアインシュタインらしいですね。アイーーン
私「アインシュタインさん今日はよろしくお願いします。」
アインシュタイン(以下ア)「アイーーン」
私「アインシュタインさん、量子コンピュータの領域でもよく登場する量子もつれについて教えてください。」
ア「量子コンピュータでもターゲットの量子ビットの状態が別の量子ビットに影響を与えるということでよく使われますね。あーいん」
ア「まずはもつれていない量子ビットAとBについて、二つのビットの状態をそれぞれ記述して見ましょう。」
Aについて: v = c0*a0 + c1*a1
Bについて: w = d0*b0 + d1*b1
私「今は二次元の空間を考えているから、基底も二つでいいんですね!」
ア「アイーーン そうです!次にテンソル積を用いて二つの状態を結合し、新しいベクトルを記述して見ましょう」
v⊗w = (c0*a0 + c1*a1)⊗(d0*b0 + d1*b1)
展開して、定数項をまとめると
v⊗w = r*a0⊗b0 + s*a0⊗b1 + t*a1⊗b0 +u*a1⊗b1
私「定数項をそれぞれ一文字にまとめたんですね!」
ア「定数項は確率振幅なのでそれぞれを二乗して足し合わせると1になります。そして外側の定数rとu 、内側の定数sとtはこのような関係があることがわかります。」
r u = s t =c0 c1 d0 d1
私「おお!もつれのない2量子ビットは外側の定数の積と内側の定数の積が等しくなるんですね!」
ア「それぞれ別の状態を考えたので当然といえば当然ですねあーーーイン」
ア「ここで一つ考えを飛躍させて、2つの量子ビットの状態を次のように説明しましょう。」
r*a0⊗b0 + s*a0⊗b1 + t*a1⊗b0 +u*a1⊗b1
私「同じ式に見えるのですが、どう飛躍したのでしょうか?」
ア「定数項が確率振幅であることに変わりはないので、各定数項を二乗して足すと1になるのは同じなのですが、 r u = s t である必要はありません。」
私「うーんまだどういうことかわかりません。」
ア「アイーーーン!では実際にもつれている量子ビットの状態を見ていきましょう。」
1/2*a0⊗b0 + 1/2*a0⊗b1 + 1/√2*a1⊗b0 +0*a1⊗b1
ア「これはもつれている2つの量子ビットの状態です。」
私「これは、どうしてもつれているとわかるんですか?」
ア「この式を変形すると」
1/√2 *a0 ⊗ (1/√2 *b0 + 1/√2 *b1 ) + 1/√2 *a1 ⊗ (1 *b0 + 0 *b1 )
私「おお!後半の項は!」
ア「アイーーン!そうですa1の状態が観測されたときは、2つ目の量子ビットは必ずb1の状態となることがわかります。しかも不思議なことに、もつれているもの同士はどんなに遠くに離したとしても、同じように片方の観測結果がもう片方の状態に瞬時に影響を与えます。」
私「どんなに離れていても瞬時にですか?地球の反対側でも?」
ア「そうです。」
私「そんなの嘘に決まっているじゃないですか!そんなことが出来たら、もつれた量子ビットを宇宙の遥か遠くまで飛ばしちゃえば、その量子ビットに対して情報を送れちゃいますよ!情報の伝達が光速を超えちゃっています!光速がこの世の中で一番速いことを示したのはアインシュタインさんご自身じゃないですか!」
ア「ふっ、これだから素人は困る。」
私「ぐぬぅ、」
ア「思慮の浅い素人のために丁寧に説明しましょう。先ほどの式をもう一度みてください。」
1/2*a0⊗b0 + 1/2*a0⊗b1 + 1/√2*a1⊗b0 +0*a1⊗b1
ア「これはa0⊗b0,a0⊗b1となる確率が1/4、a1⊗b0となる確率が1/2ということを表していますね。」
私「状態ベクトルにかかっている係数の二乗がその状態になる確率ですからね。」
ア「a0になる確率は1/4+1/4=1/2、a1になる確率は1/2」
私「ああ!」
ア「ふっ、そうこれは最初に観測した時と同じ確率」
1/√2 *a0 ⊗ (1/√2 *b0 + 1/√2 *b1 ) + 1/√2 *a1 ⊗ (1 *b0 + 0 *b1 )
ア「お互いの量子ビットは、自分の観測だけでは相手が観測されているのか、そうではないのか情報を判断することが出来ないんです。」
私「状態が出現する確率だけでは、相手が観測を行ったか、行っていないかは判断出来ないんですね。さすがアインシュタインさん。」
ア「アイーーーン 式を読み解くといろんな情報が見えてきますね。」
私「アインシュタインさん今日はありがとうございました。」